平成28年12月定例市議会

 本日ここに、12月定例市議会を開会するにあたり、議員各位におかれましては、ご多忙のところご応招頂き、誠にありがとうございます。

 10月14日に皇太子殿下が来県し、本市の信玄堤をご視察されました。皇太子殿下が本市を訪問されるのは初めてのことであります。
 皇太子殿下は水に関する研究をされており、今回のご視察では自然の地形を生かした治水技術や甲府盆地の水防を祈願するお祭りとして古くから伝わる「おみゆきさん」、また、甲州が発祥と言われる伝統的な治水工法の「聖牛」などについて説明を受けられました。
 皇太子殿下はとても興味深く武田信玄ゆかりの信玄堤をご覧いただけた様子でありました。

 信玄堤は地域の大きな遺産であり、造られてから400年以上もの間、修復されながらも機能を十分に果たして地域発展の礎となっております。
 本市でもこうした遺産を末永く保存し、後世に伝えて行きたいと考えております。

 議案の説明に先立ちまして、このたび、山梨県市議会議長会より表彰状を授与されました有泉庸一郎議員に、心からお祝いを申し上げます。
 積年のご尽力に対しまして、敬意を表するとともに、今後におきましても、更なるご活躍をご期待申し上げる次第であります。

 さて、先日、バラの絵画の寄附をいただきました。
 ベルギーの画家、ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテの作品で、昨年末には、山梨県立美術館で展覧会が開催され、2万人を越える来場者があり、関連商品も人気を取ったという画家だと伺っております。
 寄附いただいた作品は、19世紀のバラの版画の初版であり、多くの作品の中でもベスト3に入る人気の作品だそうです。
 このような素敵な作品を寄附いただけたことでもあり、何か、まちづくりに活用できればと考えるところであります。

 さて私の3期目の任期がスタートし、2か月が過ぎたところでございます。
 10月の臨時議会でもお話しいたしましたが、8年前、市長に就任して以来、「誠実な人となれ」を信条に、常に現場に足を運び、市民の声に耳を傾け、市政に取り組んで参りました。
 今後も引き続き、私に課せられた責務の重大さを感じつつ、公正で民主的な市政運営に心がけ、全身全霊を傾注して参る所存であります。
 議員各位におかれましては、今後とも絶大なるご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。
 これまでの8年間、市の目標である「緑と活力あふれる生活快適都市」実現を目指し、議員や市民の皆様のご理解、ご協力により、市政運営に携わってきました。

 教育を重視し、「創甲斐教育推進大綱」を基に、さまざまな取り組みを行って参りました。
 この中で、甲斐市の幼稚園及び保育園、小中学校において子どもたちの表現力、思考力、判断力を高めるための様々な事業を実施するとともに、山県大弐の遺徳を偲ぶ書道展事業や体力づくりを推進するための水泳教室なども実施してきました。
 また、教育施設の耐震補強や小中学校の体育館建設などにも前倒しで取り組むなど教育環境の整備に取り組んで参りました。

 産業面では、新たな特産品の開発と遊休農地の解消として「赤坂とまと」の生産販売、「さつまいも栽培」による本格芋焼酎「大弐」の商品化などにチャレンジしたところであります。

 福祉部門でも、子ども医療費の中学3年生までの無料化拡大、障がい児医療費助成方法を小学6年生まで窓口無料化にするなど取り組んで参りました。

 そのほか韮崎消防署双葉分署の新設、市営南団地の整備、市内への警察署の誘致、塩崎駅舎を含む周辺整備、市立保育園の指定管理者導入、民設民営など民間ノウハウの活用などにも取り組んできたところであります。

 10月から新たな4年間がスタートいたしました。
 まずは、甲斐市の将来の発展のため、引き続き、人づくりに取り組んで参ります。
 「甲斐市で育ち、甲斐市を育てる人づくり」を基本理念とした「創甲斐教育」を推進し、学校と家庭、地域が一体となって、子どもたちの生きる力を育むとともに、健やかで潤いがあり、活気に満ちた社会基盤づくりを目指します。
 また、生涯にわたる学びの機会と幅広い分野・世代の人々との交流を通じて甲斐市らしい独自の地域文化も作り上げたいと考えております。
 まずは引き続き(仮称)中部公園セミナーハウスを含む中部公園の整備などに取り組んで参ります。

 小中学校のエアコン整備につきましては、これまで何回となく議会からも質問や要望をいただいてきたところであります。
 このことにつきましては10月の臨時議会でも申しましたとおり、子どもたちが正常な体温調節機能ができる「丈夫な身体づくり」を進めるという従来の方針に変わりはありませんが、大規模改修や校舎耐震化、体育館の建設などが一段落となることや、災害時等にも備える面からも、小中学校のエアコン整備に取り組んで参りたいと考えております。
 これには、多額の整備費がかかることもありますが、費用対効果の高い手法を調査研究のうえ、国の補助金や交付金を有効に活用し、本市教育環境の更なる充実を図って参りたいと考えております。

 また、少子高齢化は、甲斐市にとっても重要な課題です。
 子育て支援施策や子育て環境の良さは、結婚・子育て期の夫婦等にとっては定住場所の選択基準のひとつとなります。
 妊娠・出産から子どもが成長するまで、子育てに対する切れ目のない支援や、元気な高齢者から介護が必要な高齢者まで生きがい・健康づくりを含むケアサービスを提供できるよう仕組みを整備いたします。
 これにより、セーフティネットや地域コミュニティでのふれあい、支え合いの仕組みの構築や生涯にわたる健康づくりを推進するとともに、地域の医療の充実を図り、健やかで心ふれあう安心に暮らせるまちづくりを進めて参ります。
 特に、少子化対策及び人口問題の対策には、若い女性が住みやすく安心して子育てができる環境整備が必要であります。
 ところが県内では産科施設が減少している状況であり、甲斐市内でも出産ができる施設が無いのが現状であります。

 このような状況下、甲斐市では平成27年度から人口減少及び少子化対策の一つとして、女性に安心・安全な生活スタイルを確保するため、産前から子育てまで「きめこまやか」で「切れ目」のない支援として甲斐市版ネウボラ推進プロジェクトを開始いたしました。
 このプロジェクトにおいて、本年7月、地元開業医、山梨大学などに参加していただき、ネウボラ事業推進協議会を組織したところであります。
 また、市健康増進課内に組織した子育て世代包括支援センターの連携機関と位置付ける産婦人科を誘致するため、医療施設機器の一部を国の交付金を活用し、市が財産取得を行い、取得した医療施設機器を貸与することで、今年10月、女性医師による産婦人科医院の開業に至ったところであります。
 この病院も含め、多くの関係者の協力をいただきながら、切れ目のない子育て支援として「甲斐市版ネウボラプロジェクト」を推進していきます。

 さて、様々な表情を見せる富士山、南アルプス、八ヶ岳、茅ヶ岳などの山々の眺望や、釜無川と信玄堤、荒川などの水辺の景観は、甲斐市にとっての貴重な財産であります。
 この特徴を生かし、自然景観と調和した街並み整備や緑化を推進し、良好な景観の保全・形成・活用を図っていきたいと考えております。
 また、快適な住環境の実現や公共交通機関の利用を促進、広域交通網や幹線道路、生活道路、歩道の整備を推進、そのほか、地震災害や水害などに対応した防災・減災に取り組むとともに、安心安全なまちづくりを推進します。
 まずは、塩崎駅周辺整備事業や上八幡公園整備事業の推進に引き続き取り組んで参ります。

 また、県緑化センターの跡地につきましては、議会をはじめ地域のご要望を考慮するなか、有効な活用方法を模索しておりますが、全体を購入する方向で、検討しているところであり、緑を活かし、人が集まる交流拠点とするなど、本市のイメージアップにつながるよう、活用方法を速やかに検討したいと考えておりますので、引き続きアイデアがありましたらよろしくお願いいたします。

 一方、環境面においても市民等との協働により、自然環境と生活環境の保全、循環型社会の形成、再生可能エネルギーの活用と地球温暖化の防止などの施策を推進し、甲斐市の豊かな自然と市民の生活が調和した環境づくりを進めます。
 ごみの減量化に取り組むとともに、甲斐市バイオマス産業都市の実現に向けての取り組みを進めて参りますので、議員はじめ市民の皆様にもご協力をお願いいたします。
 また、バイオマス産業都市構想の核となる木質バイオマス発電事業においては、現在、既に決定している発電事業者などが新たな発電事業体の設立を目指し協議を進めているところであります。
 この協議が整いますと、地元説明会の開催、造成設計などに着手し、事業が本格的に進みだすこととなります。
 構想に掲げたプロジェクトのうち、木質バイオマス発電プロジェクトでは、地域の森林などから伐採、収集、運搬した木材を、チップに加工して木質バイオマス発電を行います。
 熱供給プロジェクトでは、木質バイオマス発電所から発生する排熱を、化石燃料に変わるエネルギーとして、周辺の公共施設や農業施設へ熱供給を行います。
 液肥・堆肥活用農業振興プロジェクトでは、多額の費用をかけて処理している生ごみを、資源としてとらえて、液肥化・堆肥化することにより、液肥・堆肥を農業振興に活用して地域循環型のシステムを構築するものであります。

 このような甲斐市バイオマス産業都市構想の実現により、エネルギーの地産地消が進み、地域内でのバイオマスエネルギーの利用が地域の活性化に繋がるとともに、地域に様々な事業が立ち上がることにより、安定的な雇用創出と税収増加などの経済効果も見込めることとなり、最終的には、地域活性化や循環型社会の構築に繋がるものであると考えております。
 そのほか、農林業、工業、商業、観光、サービス業など産業間の連携による新たな地域産業、地域ブランドの創造、創業・起業支援に取り組むため、協働のまちづくりの推進、商工業の進行、農林業の担い手養成と農地利用の促進などに取り組みます。

 これらは本年度からスタートした第2次甲斐市総合計画において、それぞれ位置付けているものであり、直近の課題として、取り組んで参りますので、議員各位のご理解とご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。
 現在、新年度予算の編成作業を行っているところでありますが、厳しい財政状況が続く中、財政の健全化を維持しつつ、行政サービスの維持向上を確保するよう鋭意努力しているところであります。

 それでは、今定例市議会に提案致しました議案につきまして、概要をご説明申し上げます。

 議案第70号、「甲斐市中小企業・小規模企業振興基本条例の制定の件」につきましては、本市経済の一端を担っている中小企業者・小規模企業者の振興に向けた基本理念を明確化し、取り組みを展開していくため必要な規定を定めるものであります。

 議案第71号、「甲斐市ひとり親家庭医療費助成金支給条例の一部改正の件」につきましては、児童福祉法及び児童扶養手当法施行令の一部改正に伴い所要の改正を行うものであります。

 議案第72号、「平成28年度甲斐市一般会計補正予算(第4号)」につきましては、既定の歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ19億2千982万8千円の追加補正をお願いするものであります。

 歳入につきましては、国県支出金では、生活保護費負担金、防災・安全社会資本整備交付金、学校施設環境改善交付金など、その他では特別会計からの繰入金、前年度決算に伴う繰越金などを増額するものであります。
 歳出につきましては、生活保護費、畜産振興費、竜王北小学校、敷島小学校、玉幡中学校の施設整備費、財政調整基金積立金などを増額するものであります。

 繰越明許費につきましてはバイオマス産業都市推進事業など5事業の繰越明許費の設定と1事業の限度額の変更をお願いするものであります。

 債務負担行為につきましては、長塚名取線長塚橋通学路整備事業において山梨県が施工する長塚橋架け替え工事の甲斐市費用負担分につきまして協定を締結することによる、協定締結の日から平成30年度までの期間、また甲斐敷島梅の里クラインガルテン、甲斐市玉幡公園総合屋内プール、敷島・双葉B&G海洋センターの指定管理について協定を締結することに伴い管理・運営に要する経費を平成29年度から33年度までの間、債務負担行為につきまして設定するものであります。

 議案第73号、「平成28年度甲斐市国民健康保険特別会計補正予算(第3号)」につきましては、既定の歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ1万1千円の追加補正をお願いするものであります。

 議案第74号、「平成28年度甲斐市後期高齢者医療特別会計補正予算(第2号)」につきましては、既定の歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ93万4千円の追加補正をお願いするものであります。

 議案第75号、「平成28年度甲斐市介護保険特別会計補正予算(第2号)」につきましては、既定の歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ4千932万4千円の追加補正をお願いするものであります。

 議案第76号、「平成28年度甲斐市介護サービス特別会計補正予算(第2号)」につきましては、既定の歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ1万8千円の追加補正をお願いするものであります。

 議案第77号、「平成28年度甲斐市簡易水道事業特別会計補正予算(第2号)」につきましては、地方債の限度額の承認をお願いするものであります。

 議案第78号、「平成28年度甲斐市下水道事業特別会計補正予算(第2号)」につきましては、既定の歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ509万6千円の追加補正をお願いするものであります。

 議案第79号、「平成28年度甲斐市水道事業会計補正予算(第3号)」につきましては、予算第10条の、「たな卸資産」の購入限度額を120万円増額し、484万2千円に改めるものであり、これに伴い収益的収入および支出の既決予定額の総額に収入168万円、支出111万1千円の追加補正をお願いするものであります。

 議案第80号、81号、「指定管理者の指定の件」につきましては、地方自治法第244条の2第6項の規定により、議会の議決をお願いするものであります。

 議案第82号、「不動産購入の件」につきましては議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分の範囲を定める条例第3条の規定により議会の議決をお願いするものであります。

 議案第83号、「市道路線認定の件」につきましては、道路法第8条第2項の規定により、議会の議決をお願いするものであります。

 以上、提出議案等の概要についてご説明申し上げましたが、何卒、よろしく御審議の上、原案のとおり御承認、御可決くださいますようお願い申し上げます。

平成28年12月7日

甲斐市長 保坂 武

この記事に関するお問い合わせ先

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〒400-0192
山梨県甲斐市篠原2610
電話:055-267-7223

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更新日:2019年04月01日

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