平成27年9月定例市議会

 本日ここに、9月定例市議会を開会するにあたり、議員各位におかれましては、御多忙のところ御応招いただき、誠にありがとうございます。

 議案の説明に先立ちまして、このたび、全国市議会議長会より表彰状を授与されました三浦進吾議員に、心よりお祝いを申し上げます。

 積年のご尽力に対しまして、敬意を表するとともに、今後におきましても、更なるご活躍をご期待申し上げる次第であります。

 さて8月30日に東海地震警戒宣言の発令を想定し、実施いたしました総合防災訓練につきましては、降雨の中、議員各位をはじめ、市民の皆様など約1万3千500人の方々に参加をいただいたところであります。

 指定避難場所の一つである玉幡中学校では、避難所における受付方法、パーテーションの設営、避難所運営委員会の設置、またNTT東日本による特設公衆電話使用訓練など、災害時、避難所において市民自らがやらなければならないことを実際に体験できたものと考えております。また竜王保健福祉センターでは福祉避難所を開設し、障がいの違いに配慮したスペースの設置や、玉幡中学校からの要配慮者の搬送などを行ったところであります。

 災害時、被害を最小限に抑えるには、日頃からの自助・共助による備えや訓練が重要であります。地震だけでなく、富士山の噴火も想定されることから、毎年開催されますこれらの訓練を機会として、地域での連携をさらに深めていただきたいと考えております。

 昨年夏の突然の御嶽山噴火は、私たちにあらためて自然災害の恐ろしさを認識させたものでありました。この噴火での行方不明者の捜索が再開され、7月31日に発見されたご遺体が、本市在住の猪岡哲也さんであることが判明いたしました。

 猪岡さんを含む、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、二度とこのような被害者が出ないことを切に願うものであります。

 それではまず、本年度上半期における主な事業に対する取り組み状況につきまして御説明申し上げます。

 地方創生関連事業におきましては、地元消費の拡大、地域経済の活性化を図るため発行した総額4億8千万円分のプレミアム付き商品券は先月3日に完売したところであります。

 また、6月にスタートした魅力情報発信事業運営業務につきましては、首都圏の朝市・マルシェに出店するなどして特産品をPRするとともに、甲斐市の定住化の促進に取り組んでおります。

 塩崎駅周辺整備事業につきましては、南口駅前広場整備に伴う送迎用一時駐車場・駐輪場整備工事、市道新町山本線上下水道管布設工事、アンダーガード拡幅工事等が進められております。

 近隣住民の皆さまをはじめ、利用者の皆さまにはご不便をおかけしているところでありますが引き続きご理解ご協力をお願いいたします。

 「創甲斐教育」につきましては、時代に沿った適正な目標を掲げ、学校だけに留まらず、引き続き地域や関係機関と連携し45事業を実施し、今を生き、将来を生きる力を育む「甲斐っ子づくり」に取り組んでおります。

 今年度は新たに市内の小中学生が日ごろの練習の成果を発表し、広く市民に公開することにより、音楽に対する関心と理解を深め、地域の音楽文化の向上を目指すために合唱や吹奏楽などの舞台発表を行う「甲斐市小中学校音楽祭」を行います。

 竜王赤坂地区活性化事業につきましては、「赤坂とまと」の収穫が7月をもって終了し、11月からの次の収穫に向け、8月上旬には種まきを行い、現在苗の定植作業の準備を行っているところであります。

 サツマイモ焼酎「大弐」は3年目の販売となり、3月に4千800本を販売しましたが、好評のため、7月に2千本の追加販売をいたしました。また今回は新たに一升瓶800本を限定販売し、好評をいただいております。

 また民設民営化による竜王南保育園の建設、幼保連携型認定こども園へ移行する青葉幼稚園の増設も市からの補助金を受け、本年度中の完成に向けて順調に工事を進めているところであります。

 それでは、今定例市議会に提出致しました21議案につきまして、概要を御説明申し上げます。なお、詳細につきましては、担当部長から説明を致しますので、よろしくお願い申し上げます。

 はじめに、報告議案についてであります。

 報告第5号、「平成26年度甲斐市財政健全化判断比率及び資金不足比率の報告の件」につきましては、監査委員の意見を付けて報告するものであります。

 次に、一般議案であります。議案第50号、「甲斐市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例の制定の件」につきましては、土砂の崩壊等の災害防止及び生活環境の保全を図るため、必要な事項を定めるものであります。 

 議案第51号、「甲斐市個人情報保護条例の一部改正の件」につきましては、いわゆるマイナンバー法の施行に伴い、特定個人情報の保護を図るため所要の改正を行うものであります。

 議案第52号、「甲斐市手数料条例の一部改正の件」につきましても、マイナンバー法の施行等に伴い所要の改正を行うものであります。

 議案第53号、「甲斐市こども医療費助成金支給条例の一部改正の件」、議案第54号、「甲斐市重度心身障がい者医療費助成条例の一部改正の件」につきましては、医療費助成の対象年齢の拡大、及び医療費の助成方法を一部変更するため、所要の改正を行うものであります。

 甲斐市では、現在、子ども医療費の自己負担分に対して入院・通院とも小学6年生までを対象として窓口無料化方式により助成を行っております。

 こうした助成制度は、都道府県が決めた助成制度を基礎として、全国ほとんどの市区町村が単独事業として独自に上乗せして実施していることから、助成内容や対象年齢もまちまちとなっており、首長選挙などに合わせ助成対象を拡大するある種の自治体間競争となっている状況であります。こうした状況のなかで、県下自治体でも助成対象を新たに中学生以上に拡大する動きがあることから、甲斐市としても来年1月から中学生まで医療費助成の対象を拡大することと致しました。

 また、助成方法としては、一旦は窓口負担をお願いする償還払い制度と致します。

 この対象年齢の拡大にあたっては市議会からも窓口無料化制度を含め多くのご意見を頂戴いたしました。

 こうした意見を踏まえ、様々な視点から検討のうえ、わが子、わが孫へと存続する甲斐市を責任を以って引き継いでいくことを念頭に、よくよく考えたうえでの制度導入であります。

 まず市と致しましては、全国市長会が少子化対策・子育て支援に関する特別提言の一つとした通り「医療・教育はナショナルミニマムとして国が責任を持つこと」と考えております。

 これは、妊娠・出産・幼児医療などの子どもの生命に係る保障が、全国どこにいても、また、世帯の経済状況に影響されることなく、担保されることが必要であり、住んでいる地域によって子育ての環境に差があるのは不公平であり自治体間で競いあう施策ではなく、子ども医療費の無償化についても、国の責任で実施すべきであると考えております。

 そもそも、医療サービスを保障する医療保険制度は、相互扶助の考えをもとに応益、応能負担の原則により成り立っております。窓口負担の無料化は、応益負担の考え方を否定することとなり、ひいては医療費を応能負担のみで賄うことにつながるなど、制度の根幹に関わることであります。

 また、国民医療費が増大するとともに、少子高齢化の進展により現役世代の負担が増加するなかで、医療保険制度の安定化、世代間の負担の公平化は重要な課題となっております。

 こうしたことから、医療保険制度の安定的・継続的な運営を行うとともに、その他の被保険者との負担の均衡を図ることなどから、中学生を「現物給付」とする窓口無料化については慎重に対応すべきものと考えました。

 甲斐市の国保会計につきましては、これまでも給付費の増加傾向にある中でも、平成22年度からこれまで国保税率を見直すことなく維持し、一人当たりの調定額の水準も13市の中では7位と中位にあります。

 平成30年度には財政運営の主体が県になりますが、市町村ごとに標準保険料率が提示されることとなります。

 このため、甲斐市の国保税水準を引き続き維持するためにも、医療費全体の抑制など医療費の適正化を図ることは、被保険者全体の利益につながるものと考えております。

 窓口の無料化は、症状が軽いのに夜間救急外来などにかかる、いわゆる「コンビニ受診」を招き、安易な診療が医療費の増大を招くうえ、小児科医の数が変わらない中で病院が混雑し「本当に治療が必要な人の診療が遅れる」とした医師からの意見があります。

 また、「児童の医療のために良かれと思ってやっている窓口無料化が、結果的に医師の小児科離れを生み、児童の医療環境を悪化させている」という見方をする有識者もおります。

 こうしたことからも、国では窓口無料方式にすると、医療機関に受診する患者数が増えるとし、増えた医療費については、国庫負担を減額するという仕組み、いわゆるペナルティをとっております。

 そもそも子育て支援につきましては、こうした医療費助成のみではなく、出産から育児まで切れ目のない総合的な支援が必要と考えております。

 国の児童手当制度、高校授業料無償化から始まり、国、県、市がそれぞれの役割のなかで、必要な施策体系を適切に構築していくべきであります。

 市としては、乳幼児健診の充実、就学援助の拡充、特別保育事業や病児・病後児保育事業の推進などのほか待機児童の解消のため保育所整備などにも努めております。

 また、今年度から新たな子ども子育て支援制度のもと、子育て世帯の経済的負担の軽減のため保育料を国基準から概ね5割程度の水準に軽減しております。

 このために約2億6千万円、園児一人当たり年額14万円の一般財源を投入しており、県下自治体ではトップの軽減水準と考えております。

 中学生までの医療費無料化制度は、これまでも議会からもご質問をいただくなど、保護者からの支持を受ける施策であることは十分承知しております。

 しかし、行政のトップとして、助成制度の拡大及びその方法にあたっては後の世代の負担まで考慮し、慎重に対応する必要があると考えております。

 このことから、今般の対象拡大にあたっては、償還払い制度と致しましたが、今後、国・県の動向によっては制度の充実について、機動的に対応して参りたいと考えております。

 医療費無料化制度の基礎となる47都道府県の助成制度の実施状況は、所得制限や一部負担がなく中学3年生までを対象としている制度をトップに、都道府県のなかでも助成対象には大きな格差があります。

 このうち山梨県では、通院が5歳、入院については就学前を対象としており、全国のなかでは決して優位な位置ではありません。このため、人口増加策等の一環として県においても対象年齢を積極的に拡大すべきではないかと考えております。

 こうしたなかで、重度障がい児にあっては、対象となる制度の優先度の違いから、自動還付方式となっております。

 甲斐市としては、窓口無料化となっている健常児との不均衡の是正のため、県の補助金の交付を受けられなくなる、などの新たな負担は生じるものの、議会からの要望等を踏まえ来年1月から市単独事業として「子ども医療費」の対象とし、小学生までの重度障がい児の窓口無料化を実施することと致しました。

 以上、子どもへの医療費助成に対する私の考えを申し述べさせていただきました。

 ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

 それでは次に議案第55号、「平成27年度甲斐市一般会計補正予算(第2号)」につきましては、既定の歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ、2千945万2千円の追加補正をお願いするものであります。

 歳入につきましては、国庫支出金、県支出金、繰入金、などの増額が主なものとなっております。

 歳出につきましては、甲斐市ふるさと応援寄付金の増加に伴う贈呈品及び「ウエブサイト」等の手数料、番号法施行に伴う事務補助のための臨時職員の採用、こども医療費無料化の対象年齢拡大等に伴う扶助費、システム改修費、及び事務補助のための臨時職員の採用などの経費であります。

 議案第56号、「甲斐市民温泉条例の一部改正の件」につきましては、燃料費、電気料の高騰などに伴い厳しい経営状況にある甲斐市民温泉の収入を確保し、適切に事業推進を図るため、温泉利用料について現下の料金水準に鑑み改正を行うものであります。

 議案第57号、「市道路線認定の件」につきましては、新たに2本の市道路線を認定するため、道路法第8条第2項の規定により議会の議決をお願いするものであります。

 続きまして、認定議案についてであります。

 認定第1号から認定第12号までにつきましては、平成26年度における各会計の決算認定の件であります。

 一般会計の平成26年度実施の主な事業についてでありますが、まず、市制10周年の記念事業につきましては、市の木、市の花、マスコットキャラクターの発表を行った記念式典をはじめ、1年を通じて行った関連事業も滞りなく開催いたしたところであります。

 塩崎駅周辺整備事業は昨年10月に南北駅施設、スロープ、南口トイレの竣工式を行いました。

 そのほかにもホームの拡幅、屋根の設置、防犯カメラの配備等行い、利便性及び安全性に優れた駅施設となっております。

 次に本市の教育振興基本計画である「創甲斐教育推進大綱」についてでありますが、昨年度5年目の中間年となったことから、創甲斐教育推進大綱策定会議において、教育関係者などの御意見や御提言をいただきながら見直しを行い、新たな施策の設定、平成31年度の目標値の設定を図り現状に即した計画といたしました。

 また、学校施設の整備といたしまして、双葉中学校の教室改修工事、小中学校の冷水機設置工事、敷島小学校のプール改修工事などにも取り組んだところであります。

 子育て関連といたしましては竜王西・北、及び敷島保育園の建て替えが終了したところであります。

 そのほか、再生可能な資源への取り組みの一環として、甲斐市バイオマスセンターを整備し、小中学校などの給食残渣を回収し、液肥の精製を行い、無料で配布しているところであります。

 また、甲斐市国民健康保険特別会計をはじめ11の各特別会計及び甲斐市水道事業会計につきましても、一般会計同様に住み良い快適なまちづくりを目指し、複雑多様化する地域の諸課題に取り組んで参ったところであります。

 以上、本年度の主な事業への取り組み状況及び補正予算等につきまして御説明申し上げて参りましたが、本日提案申し上げました議案につきましては、何卒、よろしく御審議の上、原案のとおり御承認、御可決くださいますようお願い申し上げます。

平成27年9月7日

甲斐市長 保坂 武

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〒400-0192
山梨県甲斐市篠原2610
電話:055-267-7223

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更新日:2019年04月01日

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