金の尾遺跡(甲斐市の遺跡シリーズ1)

山梨の弥生時代研究を進展させた金の尾遺跡第1次調査の様子
金の尾遺跡とは?
金の尾遺跡は、中央自動車道の建設に伴って昭和52年(1977)に発見された、甲斐市はもとより山梨県を代表する弥生時代の遺跡です。この遺跡は竜王駅のちょうど北側、貢川を渡った先にひろがっています。下の写真で示した、黄色の丸枠がおおよその遺跡範囲です。金の尾遺跡は河川によってつくられた自然堤防上に立地しているため、周辺よりもわずかに標高が高いところにあります。

なぜ、県下でも「有名」な遺跡なのか?
金の尾遺跡が県下でも有名な理由を1つあげると、「弥生時代後期の大集落と墓域が発見された遺跡」という点です。何だか難しく書いてしまいましたが、現代風に言い直すと「今から約1800年前の住宅地と墓地が発見された」ということです。県内の同時代遺跡で、弥生時代の集落の実態がわかる遺跡はほとんどありません。そのため、山梨県の弥生時代を代表する“学術的に価値の高い遺跡”として有名な遺跡となっています。

どんなことが分かったのか?
金の尾遺跡は9回にわたる発掘調査が行われました。その結果、中央道部分が集落、中央道より北側が墓域であることがわかりました。また、集落の西で最大幅2.5メートル、最深1.45メートルの溝がみつかりました。これは集落を囲む溝、「環濠」であった可能性も考えられます。まだ一部しか見つかっていませんが、今後、濠のまわりに建てられていた物見やぐら跡などが見つかるかもしれません。また、「金の尾式」と呼ばれる特徴的な土器は、遺跡の時代を見定める物差しとして知られています。ほかにも、弥生時代末の壺棺が見つかっています。

金の尾遺跡の発見から40年以上が経ちました。
この間に多くの方々のご協力とご理解があり、遺跡の内容が徐々に明らかになってきました。
40年という月日はまちの景観を大きく変化させましたが、
地下に眠る遺跡はいつか発掘される日まで、役目を終えたその日から変わらずに眠り続けます。
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更新日:2019年05月21日