山梨県緑化センターの跡地活用について
山梨県緑化センター跡地を新たな交流拠点へ
市では、市街地の中で貴重な緑を多く残す緑化センター跡地を、新たな交流や賑わいを創出する拠点施設として整備を検討しています。
緑化センターの位置
緑化センターの様子(平成29年4月)
山梨県緑化センターのこれまでの経過
山梨県緑化センターは、緑化推進の拠点施設として県が設置し、緑化に関する活動の促進や、学習機会・情報の提供を行うなど、県の環境緑化推進の中心的な役割を果たしてきました。また、「緑化まつり」や「花きの展示会」などが開催され、多くの来場者で賑わい、県民の憩いの場としても親しまれてきました。
しかし、県内において都市公園等の施設整備が進み、より身近な地域で緑化に関する学習機会を提供できる環境が整ったことなどから、県は緑化に関する事業を見直し、山梨県緑化センターを廃止する方針を打ち出しました。
平成25年7月には、地域住民や関係団体が中心となって、山梨県緑化センターの存続を求める36,000人を超える署名が集められ、県に存続を要望しましたが、平成26年3月をもって廃止されました。
閉園前の山梨県緑化センターの様子
PPP/PFI手法を導入した跡地活用を検討
施設の廃止決定後、県から跡地活用について市に打診があり、市では地域の要望等も考慮し、これまでの山梨県緑化センターの機能・役割を踏まえて、現在の緑を生かした跡地の活用方法について検討することとしました。
山梨県緑化センター跡地活用にあたっては、今後予想される人口減少や、公共施設の効率的・効果的な維持管理など、市が抱える課題を踏まえて、市内外から人が集まる交流拠点施設として整備し、地域活性化を図ります。また、集客性・収益性の高い施設整備や運営を目指し、施設整備・運営の手法として、これまでの公設公営方式(※1)ではなく、民間の資金やノウハウ(経営能力・技術力)等を活かして効率的・効果的なサービスを提供する「PPP(※2)/PFI(※3)手法」による活用を検討します。
活用方法については、平成29年1月に広報誌を通じて市民等からアイデア募集を行い、計14件の提案をいただきました。
項 目 | 概 要 |
---|---|
敷地面積 | 21,436.68平方メートル |
敷地区画 | 1 北区画:7,545.00平方メートル 2 中央区画:10,014.22平方メートル 3 南区画:3,877.46平方メートル |
用語解説
- ※1 公設公営方式
公共施設等の設計・建設・維持管理運営すべてを公共が行う方式。 - ※2 PPP(Public Private Partnership:パブリック プライベート パートナーシップ)
公民が連携して公共サービスの提供を行い、財政資金の効率的使用や行政の効率化を図るもの。市の公共施設で導入している指定管理者制度はPPP手法のひとつ。 - ※3 PFI(Private Finance Initiative:プライベート ファイナンス イニシアティブ)
PPPの代表的な手法のひとつで、公共施設等の建設、維持管理、運営等に民間の資金やノウハウを活用し、民間主導で効率的かつ効果的なサービスを提供する手法のこと。設計・建設・維持管理運営を分割して発注する公設公営方式と比較し、PFI手法は設計・建設・維持管理運営までを一括で発注するため、事業コスト削減や事業リスク低減のほか、サービスの質の向上、財政負担の平準化などが効果としてあげられる。
PPP/PFI導入可能性調査の実施
PPP/PFI手法による跡地活用について調査・検討するため、平成29年度に内閣府の補助事業として「山梨県緑化センター跡地を活用した施設及び緑地整備運営事業のPPP/PFI導入可能性調査」を実施しました。
調査の概要は次のとおりです。
山梨県緑化センター跡地活用アイデアの整理
市民等から寄せられた跡地活用アイデアの多くは、公園や植物園などの「公園機能、植物関連施設」、美術館や博物館などの「展示機能関連施設」に関するものでありました。これらのアイデアは現在の緑を生かした活用策として、跡地での整備について適性が高いと分類しました。
これらの具体的事例を整理したところ、「花」をテーマにした施設は一定の集客力があることや、テーマを絞った特徴のある施設などで差別化を図り、集客性や収益性を高めている施設が多くありました。
山梨県緑化センター跡地活用の4つの観点
山梨県緑化センター跡地活用にあたり、事業背景・立地特性、市上位関連計画、活用アイデア、集客性・収益性の4つの観点から次のように整理しました。
事業コンセプトは「フラワーパーク&ミュージアム」
活用アイデアにおいて多くの提案があり、跡地での整備について適性が高いと分類した、公園や植物園などの「公園機能、植物関連施設」、美術館や博物館などの「展示機能関連施設」に関するアイデアや、それらに関連する具体的事例、跡地活用の考え方を踏まえて、事業コンセプトを「フラワーパーク&ミュージアム」としました。
既存の緑を生かしながら、植物の鑑賞などができるフラワーパークと、自然や緑と調和したミュージアムが、共通するテーマ設定で連携することにより相乗効果を発揮し、市民が日常的に花と緑に触れ合える機会を提供します。
また、集客性・収益性を高め、市内外から人が集まる交流拠点、賑わい施設として、地域活性化を図り、「地域のランドマーク」となる拠点施設を目指します。
フラワーパーク&ミュージアムの方向性
フラワーパーク&ミュージアムの具体的なテーマとして、フラワーパークとミュージアムに共通する「ボタニカルアート(※4)」に着目し、跡地活用アイデアの中でバラを中心とした具体的な提案が複数あったことや、植物画家として人気の高いピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ(※5)の貴重なバラ版画作品が市に寄贈されていることなどから、バラとピエール=ジョゼフ・ルドゥーテの作品を中心とした事業展開の可能性を検討します。
甲斐市に寄贈されたピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ初版版画
「ロサ・ケンティフォーリア・ブラータ」
用語説明
- ※4 ボタニカルアート
植物学的な絵画のこと。植物の姿を正確で細密に描く植物図鑑のための絵画。 - ※5 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ
ベルギー出身(1759年~1840年)の画家で、ボタニカルアート、特にバラの画家として世界的に有名で人気のある作家。その作品は、ボタニカルアートの最高峰と言われ、バラを細密に描いた代表作「バラ図譜」を中心に、全国各地で企画展が行われている。
施設整備・運営の基本方針
跡地活用の4つの観点や事業コンセプト等を踏まえて、施設整備・運営の基本方針を次のとおり整理しました。
整備の基本方針
- 花・緑の自然環境(外部空間)と、アートの鑑賞・体験環境(内部空間)が一体的に整備された施設
- 賑わいと交流を生み出す拠点性のある施設
- 適切な機能性と利便性を備えた施設
- 周辺環境と自然環境に配慮した施設
運営の基本方針
- 地域・市民に開かれた運営
- 地域経済に寄与する運営
- 事業特性に対応した品質の高い運営
- 持続性のある運営基盤の構築
施設規模・配置計画
今回の調査では、事業を実施する場合の基本的な機能(パーク、ミュージアム、駐車場)を想定して、アクセス性やパークとミュージアムの相乗効果などを考慮し、次のとおり検討の基準となる施設規模・施設配置を設定しました。
施設規模・配置計画は、本調査における条件設定により定めたもので、実際の規模、配置については、今後検討します。
ゾーン | 規模 |
---|---|
パーク | 約16,000平方メートル |
ミュージアム | 約1,200平方メートル |
駐車場 | 約140台 |
PPP/PFI手法導入による財政負担の軽減
今回の調査において、「フラワーパーク&ミュージアム」を事業コンセプトとして整備・運営した場合の施設規模や前提条件等を想定し、公設公営方式とPPP/PFI手法で、事業を実施した場合の財政負担軽減効果を検証しました。 その結果、財政負担軽減効果は約10%と算出されました。このことから、フラワーパーク&ミュージアムの整備・運営についてはPPP/PFI手法導入により市財政負担額の軽減が見込めるため、この手法導入の有効性がわかりました。
事業化に向けて
今回の調査により、緑化センター跡地をフラワーパーク&ミュージアムを事業コンセプトとして整備・運営した場合、公民連携によるPPP/PFI手法導入の有効性が確認できました。
調査結果を踏まえて、具体的な事業手法の確定、整備・運営内容、周辺基盤整備などを含めた事業費の精査などを行い、より実現性・持続性の高い事業となるように、今後さらに調査・検討を進めていきます。
(仮称)甲斐市フラワーパーク&ミュージアム整備運営事業に関する事業者公募について
(仮称)甲斐市フラワーパーク&ミュージアム整備運営事業の中止について
(仮称)甲斐市フラワーパーク&ミュージアム整備運営事業については、DBO方式による公民連携事業として、令和2年2月から事業者公募を行っておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大による市民生活及び経済活動への影響が甚大かつ長期にわたると予想されることなどから、事業の執行を中止し、事業計画を白紙撤回することを決定しました。
なお、山梨県緑化センター跡地の活用については、市の懸案事項として今後も検討してまいりますので、ご承知くださいますようお願い申し上げます。
この記事に関するお問い合わせ先
〒400-0192
山梨県甲斐市篠原2610
電話:055-278-1669
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更新日:2020年06月26日